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百年の歴史

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沖之郷町M様邸の瓦葺き替え工事。
野地を剥がし、ようやく梁組みが見えてきました。

この家は、棟札によると、明治43年建築。
今のような材料の流通システムなど無い時代。
年単位での準備が行われてきたはずです。

その歴史が見られる工事。
この家を建築する為に、
岡村家(現在の岡村建業)はこの地に居を構えました。
百年も前の話です。

百年に亘る『家守り(いえもり)』という仕事。

この家が、この先の岡村建業を見守ってくれると信じて
工事をしています。


つくる・つなぐ・つづく

(2012.06.27)

最後の瓦工事

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震災後、ようやく岡村建業の最後の瓦工事が始まりました。
3年ないし4年はかかると言われていた震災で被害に遭ってしまった屋根。

そろそろ瓦の葺き替えをしようと、お施主さんと相談していた矢先の被災。
市からの屋根工事の補助金の突然の打ち切りは、3月末までと言われていたのですが、それに間に合わせるようになど、出来る筈もありませんでした。

7寸勾配の大屋根の工事です。
ぐし(棟)瓦は胸の高さまであるのです。
工事には準備が必要でした。

明治時代建築の家、
しかも、岡村建業がこの地での大工としての生業がスタートするきっかけとなった
大切な家なのです。

本日より、やっと始められました。
葺き替えるため、瓦を降ろす工事をやっています。
仕事から帰ってきた皆は、粉を被った様に、真っ白です。

先祖がずっと携わってきた家。
辿ってきた歴史を感じながらの工事です。

葺き替えの様子は、追って紹介していこうと思います。

岡村建業の3.11での最後の瓦工事です。


つくる・つなぐ・つづく

(2012.06.11)

風に向かって走ろう!

本日のタイトル、
小学校時代のスローガンだったような覚えがあります。
先日来客があり、ふとそのことを思い出しました。

私達のような小さな工務店には、
大きな会社や組織が『育てよう』という名目で
色々な方法でグループの傘下に入りませんか?と
お誘いいただくことがあります。
時にそれは、残念ながら、
こちらの意図しているものと大きくズレている事もあるのです。

何故そうなるのかを考えると、
多分、第一は、大工・工務店の勉強不足。
例を言えば
"このグループに属せば、○○万円でHPが出来ます"や、
"これに入会すればたちまち受注アップ!"や、
"共同購入しませんか?"というもの・・・。
あげればキリがありませんけれど。

そこには"君達では出来ないだろうから"という思惑があるのではないでしょうか。
法律の改正や、その他補助金等の手続きの情報に追いつかない等も
その1つではないかと思います。

確かにこの小さい単位の会社で
大手と同じ、もしくは独自のものを作り上げていくのは大変なこともあります。
ですが、発信すること、し続けること。
時代の変化にアンテナをはりめぐらせること。
もちろん、学習することも、
日々の業務と合わせてやっていかなければいけないことでもあるのです。

誘う方からすれば、
「何で乗ってこないのか?」と思うのかもしれません。
ですが、
属すも属さないも、
基本は、岡村建業のこれからにそれは必要か否か?ということに限るのではないでしょうか。

自分で選ぶ。
自分たちで選ぶ。
会社や組織が大きいとか小さいとか関係ないのです。
『住まう人のその先』そして『岡村建業のその先』を考える事が第一。

つくる・つなぐ・つづく 
この基本理念は、これからもずっと変わりません。

『風に向かって走ろう!』

小さな工務店は、今日も風に立ち向かって頑張っています。

(2012.05.23)

昨日のこと・あの日のこと

昨日の竜巻被害のニュースが流れる度、
2008年7月25日、太田市沖之郷町に被害をもたらしたダウンバーストのことを思い出しています。

当時、気象庁の調査により、"藤田スケール"でF1と断定されました。
昨日の竜巻では、F2とのことですから、
自分達の体験を重ね合わせて、どれだけ恐ろしかっただろうか、大変なのだろうかと
胸が締め付けられるような思いでTVをみています。

ダウンバーストのことについては、ブログでも何度も記していますが、
竜巻とダウンバーストの違いは拡がり方。
竜巻が進行方向に線状なのに対し、ダウンバーストは放射線状に被害が及びます。
どちらも突風被害の代表的な事象です。
■ダウンバースト
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突風被害というものは、発生した場所の被害は甚大で、
そこから外れると意外と被害が少なく、
その差に、その被災の中と外のギャップに傷ついたり、やるせない気持ちで一杯になります。
境界で明暗が分かれるのです。
それが実体験として、まだ心の片隅から消えていないのかもしれません。

あの日のダウンバーストによって、大切に建てた家々が傷ついてしまったショック、
途方に暮れている住民たち、コツコツと片付けをするしかなかった日々のことを、
昨日のことのように思い出しています。


被害に遭われた方たちに、心からお見舞い申し上げます。
また、これ以上被害が大きくなりませんように。

■藤田スケール(ウィキペディア引用)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E7%94%B0%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%AB

■気象庁より発表の2008年7月25日のデータベース
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/tornado/2008072501/list.html

■オカケンブログでの記事
昨年の今日のこと(2009.07.25)

(2012.05.07)

向いている方が前

『向いている方が前』
女優の杏さんが自分の人生を語ったインタビューの中で言っていた言葉です。

バブルが崩壊した頃のことを思い出しました。
岡村建業にはバブルも、バブルの崩壊もありませんでした。
その当時、同じ業界の沢山の方達は大変なことになっていました。
「あの頃は良かったなぁ・・・」と、
その当時儲かったという話で盛り上がるという場面に出くわす事があります。
そんな世の中だったのです。

時代がどう変わろうと、
『大工さん』がやるべきこと、やらなくてはいけないことは必ずあります。
その技術の蓄積は、岡村建業の宝となっているのです。

杏さんの『向いている方が前』
岡村建業の『つくる・つなぐ・つづく』
どこか似ていると感じました。

時代の波に流されず、
その先・そのまた先を夢見て、
一歩一歩前進していると信じて頑張っています。

(2012.05.03)

エネルギー

先月、私事ですが引越しがあり、
仕事が終わると梱包作業に明け暮れるという毎日を過ごしていました。
無言で作業する中、頭に何度も浮かんだ事があります。
それは、沢山のお施主さんの顔。

仮住まいの方、敷地内の物置を改造して建築中住めるようにする方、
貸家やアパートの契約のタイミングを見ながら新築の完成を待つ方・・・。
これまで建築に携わってきたお施主さんたちの様々な現場を思い出しては、
とてつもないエネルギーを費しながら準備をするということなんだ・・・。
そうやって新しい生活へとシフトしていくのだなぁと、当たり前ではありますが、
その状況に置かれてみて、初めて(改めて)気付いたという次第です。

まして、子供や、動物など、家族が増えれば、それに伴って物も増えていく。
『減る』ということは、なかなか無いものです。
“断捨離”という言葉を毎日のようにどこかで見たり聞いたりしていても、
現実に自分の身に降りかかってくると、
『果たしてこれは必要か否か』というところで思わぬ時間をとってしまったりします。

お施主さんたちが『新しい家や場所で暮らす』という決断をすることの重大さを、
私達は、もっともっと大切に考えるべきなんだなと思いました。

つくる・つなぐ・つづく。
岡村建業の基本。
家に住まう。
お施主さん家族の未来へのお手伝いが出来ること。
つくることも、世代をつなぐことも、それがつづくことも、
私達の大切な責務です。

日々精進・感謝を忘れずに。


先日、ある方と子育てについて面白い話をしました。
“子供たちの溢れるエネルギーに立ち向かう為には、
同等・もしくはそれ以上のエネルギーを使わないと、子供たちは消化不良になってしまう”
そんな内容でした。
それは、私達の仕事にも言えることですね。

(2012.04.24)

随分久しぶりの更新となってしまいました。
見て下さっている方がいる事を気になりつつ、
本日になってしまいました。

現在岡村建業では、
国交省管轄の国家プロジェクト・大工育成塾の塾生を
4月からお預かりしています。
蜂須君といいます。
工業高校卒業後、念願の大工への第一歩として、
縁あって岡村建業へやってきました。
平日は弊社での勤務(修行)、土日を使って東京での講義や実習が始まります。
またその蜂須くんについては後日お伝えしようと思います。

現場は、太田市内ヶ島町のM様邸(設計事務所様の設計・施工を担当しています)
太田市下小林町M様邸を建設中です。

さて、今回の『音』。

先日、岡村家の屋根修復工事がようやく終了しました。
3.11での被害によるぐしを中心とした工事です。
とはいえ、以前ブログの記事にありましたが、
明治時代建築の家の屋根工事を残したところでの工事となり、
大変心苦しく、心から喜べないという状況ではありますが・・・。
※瓦屋さんとの協議の上、工事日程等の都合上、仕方ないという判断です。

その工事中のことです。
瓦を叩く音が聞こえてきました。
金属音というと表現が違うような気がしますが、
何とも心地よい音でした。
瓦屋さんの仕事終わりの時、
その音について聞いてみました。

「これがさ、良い瓦ほど良い音がするんだよ。」

大工さんの棟上のときのカケヤを打つときの音を思い出しました。
「せーの」「カン!」「せーの」「カン!」
梁をのせ柱と接合していくときの音です。
あのタイミングの合った音も何とも言えない良い音がします。

また、釘を打つときの音。
人によって、打ち方が違うのです。
癖のようなものでしょうか。
「トン・トン・トトン」とか、
よく耳を澄まして聞いてみると
結構面白いのです。

瓦屋さんの『音』から、
色々な大工さんの『音』を思い出し、
帰り際に話に花が咲いたひとときでした。

建築中の『音』。
足を止めて、耳を澄ましてみてはいかがでしょうか。

(2012.04.20)

ストレスフリーと自社愛

今日は群馬県太田市も、朝から雪が降り始め、
一面真っ白になっています。
今年は東北地方の大雪のニュースが続いていますが、
こちらは積雪というにふさわしい日は、今日が初めてでは無いかと思います。
雪の運転には特に注意をしようと思います。

先日、キッチンのショールーム打ち合わせに藤岡まで行って来ました。

ショールームというところは、
私達にとっては、実は少しストレスに感じるところだったりするのです。
何故か。
質問に対して的確な答えがすぐ返ってこない。
「少々お待ち下さい」という言葉を何度聞いたかわかりません。
本当は、それではいけないと思うのです。
製品(商品)の把握が出来ていない証拠ですから。
といった訳で、ショールームに出向くのがあまり好きではありませんでした。

ですが、今回はそういったストレスがまるでありませんでした。

選んだお施主さん、設計者、施工者のことなど、総合的に考えながら
スムーズに打ち合わせできるというのは、嬉しい事です。

何ともいえない清々しい気持ちで会社に戻ってきました。

その根底は、自分の会社に『愛』があるかないか。
そこだと思うのです。

(2012.02.29)